多田さん、礼さん、ご結婚おめでとうございます。 礼さんとは、小学校からの同級生で、学生時代のほとんどを一緒に過ごしてきました。昨日、小学校のときの卒業アルバムを開いてみたら、将来の夢を書く欄に「かわいいお嫁さんになりたい」と書いてありました。まあ今現在かわいいかどうかは大いに疑問ですが、ともあれ小さいころからの夢が叶ったことを、友人としてとても嬉しく思います。 多田さんには申し訳ないですが、礼が結婚をあきらめてくれればいいと思ったことがあります。礼を連れ去ってしまいたいと思ったこともあります。十四年間、楽しいときも、つらいときも、苦しいときもずっと一緒に過ごしてきた礼を幸せにできるのは僕しかいないと本気で思っていました。 気に食わないことがあるとすぐにふてくされる礼を、掃除や仕事をサボっているとすぐに怒り出す礼を、意地っ張りで全然素直じゃない礼を、一番知っているのは僕です。 強い人間に見えて実はすごく繊細な礼を、自分のことは二の次で誰よりも仲間思いな礼を、ユニホームの洗濯が抜群にうまい礼を、いつもただそばにいてくれた礼を、一番必要としていたのは僕でした。 でも結局、心の中で思っているだけで、礼の前では一度も素直になれませんでした。あんなにそばにいて、いつでも言えると思っていた言葉が結局一度も言えませんでした。たった一言が一度も言えませんでした。 僕は、僕は、礼のことが好きでした。正直言うと、今でも礼のことが好きです。でも礼は、今日多田さんと結婚します、悔しいけど、結婚してしまいます。礼の存在は僕の中ですごく宝器かったから、この言葉にたどりつくまでに、随分時間がかかってしまいました。 礼、結婚おめでとう。幸せになれよ。幸せになんなかったら、幸せになんなかったら、マジで許さないからな。 ほうきせんさいかな 本文来源:https://www.wddqw.com/doc/1b36d43e580216fc700afdb9.html