《上级で学ぶ日本语》の教程(Word)第8课 [コンピュータ梦物语]

时间:2022-04-12 04:54:12 阅读: 最新文章 文档下载
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第8課 [コンピュータ夢物語]



地下鉄の改札口でのことである。いつものように定期券を自動改札機にかざした途端、赤ランプが点滅、行く手を阻まれた。もう一度元に戻ってやり直してみたが、結果はやはり同じ。戸惑っているところへ駅員がやってきて、「ちょっと拝見します。…おかしいな」と言う。取り調べでもするかのような相手の態度にむっとして「おかしいのは機械の方だろ。この定期まだ切れてないんだし」と抗議したが、最新型のコンピュータを使った機械だからこんなことは起こるはすがないと、ろくに取り合おうともしない。結局駅員は、いぶかしげな顔をしながら「さっさと通れ」とばかりに、私に定期券を返してよこした。

この自動改札機に使われている「最新型のコンピュータ」は、厳密に言うと、あらかじめ入力された通りにプログラムを実行していくマイクロコンピュータである。これは、実に様々な機器に組み込まれ、現在我々の生活の隅々にまで入り込んでいる。キャッシュカードやクレジットカードをはじめ、テレビ、ビデオや電子レンジなど毎日お世話になる家庭用電化製品に至るまで、コンピュータなしでは現代の生活が成り立たないと言っても過言ではない。

コンピュータは、はんの半世紀ほどの間に、ハードウエア、ソフトウエアともに驚くべき速さで開発が進み、我々の生活は一変してしまったと言ってもいい。コンピュータ制御の車は、追突しそうになると勝手にスピードを落としてくれるし、運転席の横に取りつけられたカーナビが渋滞を避けながら、目的地へ最短距離で行けるコースを教えてくれる。パソコンによる通信ネットワークが充実し、子供たちはディスプレイに向かい自由に勉強し、両親はそれぞれの勤め先と結ばれたパソコンを前にマイペースで仕事をする。そんなことだって、今すぐやろうと思えばやれないことはない。家事の分担で男女差別論を戦わせることもない。炊事、洗濯、掃除など、面倒な家事も減り、一切コンピュータに指令を出すだけで済む。後は、テレビを見るなり休むなり、全く自由。そんな時代も、もう目の前だ。二十四時間健康管理をしてくれるコンピュータドクターサービス。これも、もう一部実用段階に来ている。ちょっと体調が悪いと思ったら、ディスプレイに軽く手を当てるだけで、血圧や脈拍などの必要なデータが自動的に病院に送られ、すぐに診断して適切な指示を与えてくれる。「そんなことできるものか、SF映画じゃあるまいし」と言っていたことの多くが、今のコンピューた技術をもってすれば、もう夢物語などではない時代なのだ。

こうして我々は、生活の多くの部分をコンピュータにゆだねつつある。が、

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果たしてそれを信じ込み頼り切っていいものだろうか。コンピュータがミスを犯さないという保証はどこにもない。入力プログラムが少し狂えば、生活の秩序が根本から覆される。自動改札機がミスを犯した程度のことなら腹を立てるぐらいで済む。しかし、五百人乗りの飛行機のコンピュータにトラブルが起こったら、日常生活はおろか、命まで。そう考えるとぞっとする。その上、コンピュータが悪用され、いわゆる「コンピュータウイルス」の妨害による混乱や暗証番号を盗まれて知らぬ間にお金をすっかり引き出されるという事件も、現に、数多く報告されている。 仮に、完璧なコンピュータが作られたとしても、それによってもたらされた、快適で便利で安全な生活に安住したとしたらどうなるか。なまじ労働を機械に肩代わりさせたばかりに、自らの頭や手足を働かせることを忘れてしまうという事態にも陥りかねない。そうなれば、人間は本来備わっている能力を失い、退化していくだけである。

半世紀足らずの間に、なくてはならない存在となったコンピュータ。よく「人間あってのコンピュータ。コンピュータは人間が作った物であり、それを使いこなすのは人間だ」と言われる。しかし、我々はそれに頼り過ぎるあまり、何か大切なものを見失おうとしているのではないだろうか。コンピュータは、あくまで人間がコントロールする物であり、その導入によって生まれた時間的.物質的余欲を、より質の高い人間生活の実現に結びつけるのでなければ、人間はその意図に反して、コンピュータにコントロールされてしまうことになる。コンピュータ時代に生きる我々は、ある意味でコンピュータから大きな挑戦を受けているのである。

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