お花見 (日曜日の昼、王は高橋の両親と、高橋家の隣に住む伊藤と小学校5年生になす息子の潤と一緒に上野公園へお花見に来た。伊藤は中国人の夫の仕事の関係で来日中) 王:わー、満開だな。すっごーい。 高橋の母:王さんにぜひ見てもらいたいって、美穂からもメールが来てね。 王:そうだったんですか。北京の桜はまだだろうなあ。 高橋の父:(花見をする場所を探して辺りを見回して)ここがいいね。 母:そうね。あなた、シート広げて。 王:手伝いますよ…はい、よいしょっと。 母:あ、どうもありがとう。北京でもお花見ってするの? 王:うちの大学のそばの公園が名所なんですよ。 伊藤:あら、ひょっとして京華大学? わたし京華に留学してたんですよ。 王:えっ、ほんとに? じゃあ、先輩ですね! (シートを少し引っ張って)これでいいですか。 父:オーケー。さあ、お弁当、お弁当。 母:まったく、お父さんったら「花より団子」なんだから。 伊藤:(潤がいつのまにか桜の木に登っているのを見て)こら、潤、危ないからやめなさい。この子にも将来京華大に行ってもらいたいんですけど、5年生にもなってこれでしょう…。頭が痛いわ。 母:まあyまあ。さあ、潤ちゃん、いらっしゃい。 潤:いっただっきまーす。 父:さあ、どうぞ、どうぞ。 王:あの、ジャスミン茶を持ってきたんですが、いかがですか。 母:あら、いい香り。じゃ、みんなでいただきましょう。 潤:この卵焼き、甘くておいしいよ。 王:えっ、日本の卵焼きって甘いんですか…。(苦笑い) 伊藤:そうだわ、王さん、潤の中国語の先生になってやってもらえないかしら。 王:えっ! 僕が潤ちゃんの先生?まさか! 父:そうか! 王さんがいたじゃないか。実は部下が7月から北京に赴任するんだけど、こちらも何とか教えてやってくれないか。頼むよ。 王:えっ!! そんなあ…。 母:お父さんったら! (みんなで食事が終わって) 父:やっぱり、春の桜って本当にいいもんだなあ。 王:信哉君も一緒だとよかったけど、受験勉強じゃしかたないですね。 母:それがね、まだ部活に夢中で勉強どころじゃないって感じなのよ。もうちょっと真剣になってくれないとねえ。 父:このままじゃ「サクラチル」だよ。 母:まあ、あなた、縁起でもない。でも、信哉ったら、せっかく年号を覚え方教えてやっても、戦前覚えようともしてくれないの。 父:例の「鳴くよ、うぐいす」かい。 …まあ、焦ることはないさ。 伊藤;信哉君の大変なんですね。あ、さっきの話に戻っちゃうけど、せめて会話だけでも慣らしておきたいの。お時間のある時、潤の中国語の話し相手をしてもらえないかしら。 王:先輩のお願いだし、それなら喜んでさせていただきます。 伊藤:よかった! じゃ、ちょっと急だけど、さっそく、来週あたりからお願いできるかしら… 王:後半ならたぶん大丈夫だと思いますが…。 潤:じゃ、王さん、金曜日にしようか。 伊藤:こら、潤。王さんにもご都合があるのよ。 王:あいにく、スケジュール帳、うちに置いてきちゃってて…。確認してからお電話させていただいてもいいですか。 伊藤:ええ、よろしくお願いします。 王:ところで、さっきおっしゃってた「うぐいすがなく」ってなんですか。 父:うん? ああ、それはねえ…、暗記のための語呂合わせでね。(説明を始まる) (次の日、大学で) 王:木村さん、前に子どもにゲームで教える方法について発表してくれたよね。その話、時間がある時、もうちょっと教えてくれない? 木村:いいよ。年少者教育のことなら任せといて。 王:ありがと。じゃ、あしたの吉田先生の授業のあとということで。 木村:オッケー。じゃ、またあした。 王:よろしく! 本文来源:https://www.wddqw.com/doc/b484741558f5f61fb6366644.html