京都の和菓子

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京都の和菓子



京都(きょうと)の和菓子(わがし)

(財(ざい)京都日本語(きょうとにほんご)センタ(せんた) 京都日本語学校(きょうとにほんごがっこう)

井上(いのうえ) 真理(しんり)

和菓子(わがし)は五感芸術(ごかんげいじゅつ)



京都(きょうと)には何百年(なんびゃくねん)も前(まえ)に創業(そうぎょう)したという和菓子(わがし)の老舗(しにせ)がいくつもあります。日本の伝統(でんとう)文化(んか)、伝統(でんとう)芸能(げいのう)のほとんどが、室町(むろまち)時代(じだい)の京都から始まったように、和菓子(わがし)もまた、何百年も前に京都が作り出した芸能(げいのう)のひとつなのです。しかも、和菓子は「五感の芸術」といわれています。「五感?目()(はな)(した)()で感じるのはわかるけど、(みみ)はどうして?」と思うかもしれませんが、それは後(あと)でお話ししましょう。

京都の四季(しき)と和菓子

さて。日本には、春、夏、秋、冬という四つの季節がありますが、そのことをほとんどの日本人は幸運(こううん)だと思っています。忙(いそが)しい日々(ひび)の中、ふと気()がつくと昨日(きのう)とちがう今日(きょう)があり、それを五感(ごかん)(かん)じます。そんな日本人にとって、和菓子は季節の移(うつ)ろいや年中(ねんじゅう)行事(ぎょうじ)などを教(おし)えてくれる、小(ちい)さな「自然(しぜん)」であり、「暦(こよみ)」なのです。では、京都(きょうと)の四季を追()いかけていきましょう。

季節を表現(ひょうげん)する

春はもちろんでも、早春(そうしゅん)「梅(うめ)の花(はな)です。桜が散()ったら「青葉(あおば)の初夏(しょか)梅雨(つゆ)「あじさい」のあとは、京都(ょうと)特有(とくゆう)の蒸()し暑(あつ)い夏が来ます。我慢(がまん)できないほどの暑(あつ)さの中(なか)、和菓子の世界では「流(なが)れる水(みず)」や「氷室(ひむ)」をイメージした作品(さくひん)で涼(すず)しさを呼()び寄()せます。次()に来()る秋(あき)は日本(にほん)の一番(いちばん)美しい季節(きせつ)です。「菊(きく)の花(はな)」が咲()いて「柿(かき)の実()」が色(いろ)づき、山々(まやま)、木々(きぎ)が紅(べに)や黄色(きいろ)に変()わっていきます。「銀杏(


ちょう)」で表現(ひょうげん)します。時(とき)は移(うつ)り、葉()の落()ちた裸(はだか)の木()が寒(さむ)さを誘(さそ)います。そして、(ふゆ)の京都(きょうと)は「底冷(そこび)え」身体(しんたい)の底(そこ)から冷()えてきます。和菓子(わが)は冬(ふゆ)を何(なん)で表現(ひょうげん)するのでしょうか。やはり、「雪(ゆき)は菓子職人(しょくにん)にとって欠()かせないモチーフでしょう。そして、暖(たた)かいものが欲()しくなるこの季節(きせつ)和菓子(わがし)は温(あたた)かさ「柚(ゆず)で表(あらわ)します。日本には、冬至(とうじ)「ゆず湯()に入()るという習慣(しゅうかん)があります。(ゆず)の香(かお)りに包(つつ)まれながら、身体(しんたい)の芯(しん)まで温(あたた)まるです。

正月(しょうがつ)と和菓子

大晦日(おおみそか)、除夜(じょや)の鐘(かね)を聞()きながら行()く年(とし)(わか)れを告()げて、新年(しんねん)を迎(むか)えます。日本人(にほんじん)とって、正月(しょうがつ)は大(おお)きな節目(ふしめ)であり、大切行事(たいせつぎょうじ)です。和菓子(わがし)も、新年(しんねん)には「松(まつ)」や「鶴(つる)」、「亀(かめ)」など、おめでたいものに変()わります。

以上(じょう)、簡単(かんたん)に和菓子(わがし)で京都(きょうと)の一年(いちねん)をご紹介(しょうかい)しました。どうぞ、京都(きょうと)に来()て、あなた自身(しん)の五感(ごかん)で和菓子(わがし)を味(あじ)わってみてください。

耳と和菓子

そうそう、五感(ごかん)の一(ひと)つの聴覚(ちょうかく)(みみ)と和菓子(わがし)の関係(かんけい)をお話(はな)ししなければなりません。和菓子(わがし)は、そのひとつひとつに雅(みやび)な名前(なまえ)がつけられています。例(たと)えば、「松の雪(マツノユキ)」「八重霞(ヤエガスミ)」「沢辺の蛍(サワベノホタル)」「若葉陰(ワカバカゲ)」「子練り柿(コネリガキ)」などです。それぞれの響(ひび)が耳(みみ)で聞()く芸術(げいじゅつ)だとはおもいませんか。

数百年前(すうひゃくねんまえ)から続(つづ)く和菓子(わがし)の老舗(しにせ)が京都御苑(きょうとぎょえん)の向()かい側(がわ)、烏丸一条(からすまるいちじょう)(かど)にあります。そしてそのすぐそばに、54年(54ねん)の歴史(れきし)をもつ、日本語教育(にほんごきょういく)の「老舗(しにせ)」、京都日本語学校(きょうとにほんごがっこう)があります。

『ああ、なんやほっこりしましたわ。ちょっと「おうす」でもいただきましょか。そうそう、ちょうどお歳暮(せいぼ)にいただいた和菓子(わがし)もあることやし。ほな』。これ、京都弁です。


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