ジョブズ氏逝く―世界を2度変えた男 かつて、これほど世界中の人々から、死を惜しまれた企業経営者がいただろうか。 アップルの共同創業者で、前最高経営責任者(CEO)のスティーブ・ジョブズ氏が、56歳で死去した。 「Think different」(発想を変える) ジョブズ氏がアップルに復帰し、1997年から展開したキャンペーンのコピーである。アインシュタインやガンジーらの映像を使ったCMのナレーションは、こう締めくくられる。「自分が世界を変えられると本気で信じる人たちこそが、本当に世界を変えているのだから」 それは、まさにジョブズ氏の歩みでもあった。 ジョブズ氏は創業翌年の1977年にアップル2を、1984年にはマッキントッシュを発売し、世界的ヒットを飛ばす。そこには、大企業のものだったコンピューターの世界を個人の手にもたらすというカウンターカルチャーの気風が色濃く投影されていた。 1985年に会社を追放された。 10年余りを経て復帰した後はiMac、iPod、iPhone、iPadと、新たなコンセプトを持つ製品を送り出し、アップルを復活させただけでなく、人々の暮らしに多大な変化をもたらした。ジョブズ氏は少なくとも世界を2度変えた。 特筆すべきは、そのビジネスモデルだ。「ものづくりではもうからない」と言われる時代にアップルは一貫してソフトとハードを統合した事業を続けた。ジョブズ氏はあらゆる製品で、デザインや使いやすさに徹底的にこだわった。 そのうえで、自社では工場を持たない。少品種の製品に絞り込みつつ、日本を含む世界中の企業から最適な部材を調達することで、メーカーとして極めて高い収益率を維持した。 ものづくりを得意としながら収益悪化に苦しむ日本企業は、改めて商品コンセプトの革新性とデザインへの審美眼を学ぶしかあるまい。 アップルはアップストアのようにソフトを配信する独自のサイトを設け、自社の端末で楽しんでもらう囲い込み型ビジネスで商品の価値を高めてきた。 今後、テレビをはじめとした家電や自動車、オフィス用品など様々な機器がオープンな形でインターネットに接続する時代が到来する。そのとき、アップルは囲い込み型ビジネスモデルからどう発展していくのか。 新しい製品を紹介する際の決まり文句だった「それから、もうひとつ」をもはや聞けないのが、残念でならない。 いまどきの「デキル男」たち 最近では、企業の経営者や管理職、そして仕事がハードな業界や職種でも様々なイクメンたちが登場しています。仕事はもちろん、育児や家事も効率よくこなし両立させる姿は、これからの時代の「デキル男」の象徴といえます。また、働く女性が増え続ける現在では、女性にとってもパートナーの「イクメン度」は大いに気になるところ。本特集では、大手企業の幹部でありながらイクメンのアストラゼネカ(株)役員の金子潔さん、共同印刷(株)営業部長の石井一さん、そして、30代として企業の最前線で活躍するキリンビールオフィス(株)の大島資正さん、(株)リコーの山本陽平さんの4名に話をお聞きし、仕事と家庭の両立のコツを探ってみました。 Vol.1 子どもと一緒に過ごす分、仕事では最大限の成果を出す! キリングループオフィス株式会社業務統合推進部 大島資正さん 妻が同じグループ会社に勤める、キリングループオフィス株式会社の大島資正さん。育児休暇から復帰する妻をサポートするため、入れ替わりで1カ月の育休を取得した。お互いの忙しさを理解しているため、日々の仕事や育児、家事のやり繰りなど、週に一度、スケジュールを確認し合い、保育園のお迎えなどの分担を決める。共働きゆえの工夫や支え合いなど、大島さんが育児を通して感じたことについて、お話をうかがった。 同僚のありがたみを痛感 キリングループオフィス株式会社業務統合推進部 大島資正さん――育児に積極的に関わろうと決意した経緯を教えてください。 実は、子どもが生まれる前から育児には興味があって、男性の育児休暇に関する本を読んだりしていました。また、同じ職場で育児休暇を取得した男性の上司もいたので、自分の時も取得しようかなと自然と検討できる環境だったのも大きかったですね。 ――具体的にはいつ育休を取得されたのですか。 昨年5月、同じグループ会社に勤める妻が1年弱の育児休業を終えてフルタイムで復帰するタイミングでそのサポートができればと考え、ゴールデンウイークとも絡め、月内いっぱい仕事を休みました。男性の育児休暇は基本的に2週間でしたが、残りは有給休暇で補いました。 ――同僚の方たちからの反応は。 「育児は妻と分担してやろうと思っています」と言うと、皆「頑張って!」と言ってくれました。「困る」とか「残業しなくて大丈夫?」と言う人はいなかったのでホッとしました。 ――育休を取得してご自身で変わったと思われる点は。 限られた時間の中で何を優先的に取り組むべきか常に考えるようになりました。昔はとにかく山のようにある仕事をこなすことしか考えていませんでしたが、子どもと一緒に過ごす時間が増えた分、仕事では効率性を高めて最大限の成果を出すよう努力しています。もちろん、残業をせず帰る時などは多少後ろめたい気持ちはありますが、「その分、仕事の中で取り返そう!」と思うようにしています。サポートしてくれる同僚には感謝の気持ちでいっぱいです。育児をするようになって改めて同僚のありがたみを痛感しています。 本文来源:https://www.wddqw.com/doc/6f4a546ba98271fe910ef941.html