《その朝》➄ 鍵の掛かったのを確認して、田辺さんは表通りへ出た。礼装用の靴の爪先が、いやにかがやいて見える。 田辺先生确认完门已经锁好后,便朝大街上走去。礼服鞋的鞋尖看上去正闪闪发着光。 駅への道を歩きながら、また辛い思いにとらわれてしまった。 在去车站的路上走着走着,心里又莫名的那么一酸。 つい数週間前まで、出勤するときは、たいがい浩子と一緒だった。短大を出て就職してから約5年の間、毎朝、駅まで肩をならべて歩いた。しかしもう、そんなことは二度とない。 截止到几周前,每次出勤多半都是和浩子一起出门。浩子短大一毕业就参加了工作,到现在已有5年光阴了,在这5年时间里去车站的这段路上都有浩子相陪。事到如今,再也不能像以前那样了。 田辺さんは急に足を速めた。挙式までの時間はたっぷりあるが、さっさと電車に乗り込んだほうがいい。ほかのお乗客のあいだで揺られていれば、せつない気持ちに襲われることもないだろう。 田辺先生急忙加快了脚步。既便到举行仪式还有大把的时间,但他还是想早点挤上电车。心想在与其他乘客相互碰撞之余,应该不会再有闲心胡思乱想了吧。(/直译:就不会被这么难受的心情所扰了吧) 駅の階段を駆け上がり、定期券を出そうとして、はたと気づいた。行き先が、いつもとちがう。式場のホテルは、会社とは反対方向にある。 跑上车站台阶欲掏出月票,这才突然意识到。目的地与平时不一样。婚礼的酒店跟公司方向恰恰相反。 キップを買うため、コートのポケットを探った。小銭入れを掴んだ指先に、何やら硬い紙の感触があった。昨日、会社から帰宅した時は、紙など入っていなかったはずだ。 摸着外套口袋,准备买票。抓着零钱的手指间,仿佛碰到硬邦邦的纸。昨天从公司回来的时候,貌似没有放纸之类的东西在口袋啊。 取りだしてみると、四つに畳んだ便箋である。とりあえず自動券売機に硬貨を入れ、キップをつまんで改札口へ向かった。胸に、ときめくものがあった。 取出来一看,是叠成四层的信纸。田辺先生二话没说往自动售票机投硬币,拿着票就朝检票口去了。内心却无比的澎湃。 本文来源:https://www.wddqw.com/doc/79f6a18c0242a8956aece454.html