第4课 包丁一本

时间:2022-04-30 04:59:13 阅读: 最新文章 文档下载
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4 包丁一本

日本は四季(しき)の変化に富む(とむ)国です。日本料理は、季節の旬の、海の幸(さち)、山の幸を材料にして、生で、焼いて、煮て、蒸してと、様々な調理方法を組み合わせて作る、長い歴史が育んだ料理です。この伝統的な日本料理の世界に、身を投じている若者も沢山います。彼らは、なぜ、この世界へ入ったのでしょうか。何を目標としているのでしょうか。

ここは、東京ディズニーランドの近くの一流ホテル。フランス料理店、中華料理店等と並んで、日本料理店もあります。この店では、接客係として26名、そして調理場では30名が働いています。営業時間は、ランチタイムと夜。近代的なホテルの中にある日本料理店ですが、一歩裏へ回ると、そこには昔ながらの日本料理の板前(いたまえ)の世界があります。

林君は入社して3年、雑用(ざつよう)係の『追い回し』を卒業、今は『前菜』に昇格(しょうかく)しました。とはいっても、仕事は先輩達が作った料理を盛りつけたり、下準備をするだけ。まだまだ駆け出しです。なぜ板前になろうと思ったのでしょうか。

一人前になるには、早くても15年はかかると言われる日本料理。林君が次に目指すのが、この『焼き場』。焼き物と揚げ物を担当します。その上は、魚をおろし、刺身を作る『向場』『煮方』になると、料理の味付けや、蒸し物·煮物を作ります。こうした、追い回しから煮方までをまとめていくのが『立板』です。真打ちは『花板』。この店の料理長、朝倉さんです。花板ともなると社会的地位も高く、ホテルを代表する一人として、尊敬されています。料理の献立(こんだて)を考えるのはもちろん、店の経営まで携わる(たずさわる)花板、もう一つ大事な仕事が、若い者の教育。びしびし、仕込んでいきます。

そんな花板を、調理場の皆は、『親父』と呼びます。林君は、『親父』さんが来ると、おどおどしてしまいます。まるで、蛇(へび)に睨まれた蛙!気が弱い林君、この先うまくやっていけるでしょうか。林君は地元千葉県の出身。両親と同居(どうきょ)しています。父親は普通のサラリーマンです。

林君の出勤は午前9時。先輩達が来る前に、料理の下ごしらえを始めます。前菜には、二人の仲間がいます。山田君と東君。入社時期も一緒です。下準備が終わる頃には、次第に先輩達もやってきます。調理場に全員揃うと、親父さんもやってきます。親父さんは、調理場の横に自分の個室があります。服もそこで着替えます。早速、今日


のデザートの見本を作る親父さん。天候や仕入れた材料によって、その日一番合ったメニューを考えていきます。今日一日はける料理の数も、親父さんが予測し、事前の仕込みを指示します。一方、林君の仕事は、豆腐の裏ごし。豆腐を細かくすりつぶし、ペースト状にします。これを煮方が、もずくと混ぜ合わせて、だしを加え、よくかき混ぜ、『もずく豆腐』という料理を作ります。型枠(かたわく)に入れ、表面をきれいに整(ととの)えます。これが出来上がり。出来た『もずく豆腐』は、ラップでくるみ、いったん冷蔵庫で冷やします。ラップが、『もずく豆腐』についてしまいました。台無しです。見つかってしまいました。一生懸命なのですが、どうも失敗ばかり。親父さんは、林君のことをどう思っているのでしょうか。

1130分、30分で昼食を食べ終え、いよいよオープン、調理場の戦争が始まります。料理を重箱(じゅうばこ)に詰めていく林君。今日は、団体客の予約入っています。同じタイミングで料理を出さなければならず、手を休める暇もありません。ほっと一息つけるのは、午後2時半。いったん店が閉められ、2時間休憩です。

しかし、林君達には、この時間こそが、自分達の貴重な練習時間なのです。今日は、針海苔の練習。幅1ミリ程に海苔を均等に切っていきます。料理の添え物として使うため、同じ幅できれいに切られたものでなければ使えません。林君は自信がないのか、二人の練習を見ているだけ。どうもぎこちない、包丁さばき。消極的な林君は、二人に遅れをとるばかり。

早めの夕食を食べて、5時から再び戦闘開始。新鮮な魚を、次々とおろしていきます。様々な料理が、器(うつわ)にきれいに盛りつけられていきます。林君達が切った針海苔も、添えられています。忙しいからと言って手を抜くと、たちまち親父さんの雷(かみなり)が落ちます。

それぞれのパートで、全力を出して作った成果の一つが、これ、羽衣懐石(はごろもかいせき)。旬のものをふんだんに使った懐石料理です。値段は、15千円!午後10時、仕事が一段落すると、親父さんは帰ります。今日の見送りは林君。これも、日本料理のしきたりです。

午後10時半、閉店。先輩達が帰った後も、まだ仕事が残っています。追い回しと一緒に、調理場の掃除や後片付けをしなければなりません。一日の仕事が終わるのは11時過ぎ。怒鳴られてばかりいる林君。親父さんのことを、どう思っているのでしょうか。

家路(いえじ)を急ぐ林君。遊ぶ体力も残っていません。


ホテルのような大所帯(おおじょたい)の調理場もあれば、一人だけの調理場の世界もあります。この店の主人、坂本さんは、たった一人の調理人です。

30人も入ればいっぱいになる小さな店ですが、妻の和子さんと主に、夫婦で楽しく店を営(いとな)んでいます。坂本さんは、毎朝、自ら市場に仕入れに出向きます。

実は、林君の夢も、いつかこうした店を持つことなのです。親父さんは、林君達が歯がゆくてたまりません。一歩でも先に行こうという気負いがないからです。

休み時間、林君達三人が、親父さんに呼ばれました。競争心のない彼らを発奮(はっぷん)させようと、『焼き場』の昇進をかけた試験を行うというのです。課題となるのは、『鮎(あゆ)の塩焼き』。試験は一週間後です。

早速、先輩に焼き方のコツを聞く、東君。山田君は、鮎の唯一の味付け、塩のふり方を練習。塩辛さが片寄らないよう、均等にふれるか、盆でチェックします。林君は休みの日、鮎を買って家で作ってみることにしました。鮎が燃え出してしまいました!黒焦げ(くろこげ)の鮎を、お父さん達が試食。

翌日、仕事への取り組み方が変わりました。どんどん仕事をこなしていきます。休み時間も、積極的に、鮎の焼き方を先輩に教(おそ)わります。夜12時過ぎ。家に帰ってからも、睡眠時間を惜しんで練習。いよいよ試験の日が来ました。昼の休憩時間が、試験の時間です。まず、林君。慎重に串(くし)を差します。そして、塩を振ります。焼き方は、林君のオリジナル。焦がした経験を生かし、鮎の鰭(ひれ)をアルミホイルで包み、焦げにくく工夫。試験は更に、鮎のつけだれ、蓼(たで)の葉をすって作る蓼酢(たでず)の出来具合(できぐあい)、そして盆を使って、鮎にまんべんなく塩を振る技術があるかをチェック。続いて焼くのは、東君。山田君も慎重に焼いています。試験を開始して30分が経過。三人とも、焼き上がりました。

この鮎は、山田君が焼いたもの。塩の振り方、蓼酢の作り方も、山田君が一歩リード。同期の仲間と差がついてしまった林君。嫌にならないでしょうか。

ホテルが誇る料理人達を、一同に集めた写真撮影が行われました。ホテルのパンフレットを飾る(かざる)ものです。親父さんをはじめ、フランス料理、中華料理と一流の調理人達が勢揃い(せいぞろい)。そんな中に、林君の姿もあります。林君の料理人としての人生は始まったばかり、競争はこれからです。生涯(しょうがい)が、ライバルとの、そして自分との戦い!そんな包丁一本の人生の意味を、林君は今ようやく知ったばかりなのです。


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