「と、ば、たら、なら」についての使い方 一、と 1、基本的な用法は反復的・恒常的に成り立つ依存関係(pが起こればQが起こるという関係)をあらわすものです。自然現象、習慣、機械操作と結果などがその典型的な例です。 例:①3月の後半になると、桜が咲き始めます。(自然現象) ②毎朝起きると、紅茶を一杯のみます。(習慣) ③お金を入れてボタンを押すと、切符が出てきます。(機械操作と結果) 2、「~と」は反復的・恒常的に成り立つ依存関係を表すのが普通なので、後件に意志や希望、命令、依頼などの表現が来ることはありません。 ①×桜が咲くと、花見に行くつもりだ。 桜が咲いたら、花見に行くつもりだ。 ②×食事ができると、呼んでください。 食事ができたら、呼んでください。 3、「~と」は前件・後件とも既に起こったことがらを表すこともできます。(前件が契機となって後件が起こったという関係を表す。 ①窓を開けると、冷たい風が入ってきた。 ②田中さんにメールを送ると、すぐ返事が来ました。 また、発見と呼ばれる、前件の動きをした結果後件のことがらを発見したという関係を表す用法です。 ① デパートへ行くと、チョコレートが山積みになっていた。 ② 四つ角を曲がると、すぐ彼のマンションが見えた。 以上からわかるように「~と」は仮定性が薄く、本質的には典型的な条件というより、二つのことがら間の継起関係を表す表現だといえます。 このような「~と」の本質は、次のような、同じ主体の連続した動作を表す用法を持つことにも現れています。これはすでに条件から外れた用法です。 ① 男は玄関に現れると、断りもせずにあがりこんできた。 ② 先生は教室に入ってくると、早速授業を始められました。 二、ば 1、「~ば」の文では、原則として、後件に意志や希望、命令、依頼などの表現が来ることはありません。この点で後ろに述べる「~たら」とは異なります。 ①(×帰宅すれば/○帰宅したら)、必ず手を洗いなさい。 但し、前件の述語が状態性の場合、及び前件と後件の主体が異なる場合は例外となります。 ① わからないことがあれば、いつでも聞いてください。 ② 父が許してくれれば、彼と結婚するつもりです。 また、「~ば」の文では、「~と」と違って、前件も後件も既に起こっている事実的条件を表すことはできません。 例: ①注射を(×打ってもらえば、/○打ってもらうと)、すぐ直りました。 「~」と似ている面もありますが、「~ば」は「~と」違って、仮定条件によく用いられます。 ①あしたもし雨が(○降れば/×降ると)、どうしますか。 2、「~ば」は、後件の成立が望まれているという文脈で、そのためにどんな前件が必要かを述べるような文(前件に焦点のある条件文)には、最もふさわしい形式です。 ①-どうすれば、服が安く買えますか。 ―バーゲンの時期まで待てば、安く買えますよ。 そのため、下の例の場合、「~ば」と「~と」では意味に若干違いがあります。 ①このボタンを(押せば/押すと)、回数券が買えます。 回数券の買い方を尋ねられたときの答えとして普通用いられるのは「~ば」のほうで、「~と」を使うと一般に券売機の使い方を説明している感じがします。 3、上で述べた、前件に焦点のある条件を現す用法を持つことと関連することですが、「~ば」の文では後件に望ましいことがらが来ることが多く、望ましくない事柄の場合は「~ば」は用いにくくないます。 ①徹夜(?すれば/○すると/○したら)、遊んで暮らせる。 4、また、現実と異なることがらを仮定する条件(反事実的条件)の場合も、普通「~ば」が用いられます。 ①あと1000円あれば、このコートが買えるのに。 本文来源:https://www.wddqw.com/doc/14147b97bb68a98270fefa80.html